転勤中に家を貸す前に、借家の家賃と広さを統計で確かめる

家具がほとんどない明るい室内。フローリングの床と白い壁、奥にキッチンと洗面室が見える
写真はイメージです。Photo: SmashingIt99 / Wikimedia Commons(CC0)

転勤が決まり、空く家を貸すかどうかを考え始めると、最初に気になるのは「いくらで貸せるのか」だと思います。ただ、家賃の見込みは地域、築年数、広さ、設備、募集の時期で大きく変わり、統計の平均をそのまま自宅に当てはめることはできません。

それでも、全国の統計を一度見ておくと、管理会社や不動産会社から示される数字を読むときの物差しになります。この記事では、総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査から、借家の家賃、1畳当たりの家賃、住宅の広さ、一戸建の空き家に占める賃貸用の割合を順に確認します。

借家の1か月当たり家賃は59,656円、2018年から7.1%増

総務省統計局によると、2023年10月1日時点の借家(専用住宅)の1か月当たり家賃は59,656円でした。前回調査の2018年は55,695円で、増加率は7.1%です。

この数字は、借家に実際に住んでいる世帯が払っている家賃を全国で平均したものです。いま募集されている部屋の賃料や、成約した賃料の平均ではありません。都市部と地方、築浅と築古、ワンルームとファミリー向けがすべて混ざった値なので、自宅の賃料見込みを示す数字として読むことはできません。見るべきなのは、全国の平均がどの程度の水準で、5年でどれくらい動いたかという大まかな方向です。

借家の数も確認しておきます。同じ調査で借家は1946万2千戸、住宅全体の35.0%を占め、そのうち民営借家は1568万4千戸(28.2%)でした。借家の多くは民営借家が占めています。

出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』(2024年9月25日公表、調査時点2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)

種類別では、民営借家(木造)54,409円、民営借家(非木造)68,548円

借家は、公営の借家、UR・公社の借家、民営借家(木造・非木造)、給与住宅(社宅など)に分けて集計されています。2023年の1か月当たり家賃は、民営借家(木造)が54,409円(2018年52,062円から4.5%増)、民営借家(非木造)が68,548円(2018年64,041円から7.0%増)でした。

ほかの種類は、公営の借家24,961円、UR・公社の借家71,831円、給与住宅37,993円です。公営の借家や給与住宅は家賃の決まり方が民間の賃貸と異なるため、民間の賃貸を考えるときの参考には向きません。

借家の種類別1か月当たり家賃(2023年)。総数59,656円、民営・木造54,409円、民営・非木造68,548円、UR・公社71,831円、給与住宅37,993円、公営24,961円 総数 民営・木造 民営・非木造 UR・公社 給与住宅 公営 59,656 54,409 68,548 71,831 37,993 24,961 0 20,000 40,000 60,000 80,000 単位: 円
借家(専用住宅)の種類別1か月当たり家賃(全国、2023年)。民営・木造は民営借家(木造)、民営・非木造は民営借家(非木造)、UR・公社はUR・公社の借家、公営は公営の借家。出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』表7(2024年9月25日公表、調査時点2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)を基に Real Estate 7 Grid が作成

転勤で空く持ち家を個人が貸す場合、統計の上では民営借家の側に入ると考えるのが自然ですが、どの区分に数えられるかは統計局の用語の定義によります。ここでは断定せず、民営借家の2つの数字を、民間の賃貸住宅のおおまかな水準として見ておく程度にとどめます。

また、この調査の概要資料には、一戸建の借家だけに絞った家賃の数字はありません。民営借家(木造)には木造アパートも含まれるため、54,409円を戸建て賃貸の平均と読み替えないように注意してください。

出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』(2024年9月25日公表、調査時点2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)

1畳当たり家賃で見ると、広さの違いを少しならせる

1か月当たりの家賃は、部屋が広いほど高くなります。そこで同じ調査は、家賃を畳数で割った1畳当たり家賃も示しています。2023年は、借家全体で3,403円、民営借家(木造)で2,916円、民営借家(非木造)で4,151円でした。公営の借家は1,246円、UR・公社の借家は3,633円、給与住宅は2,071円です。

民営借家で比べると、1か月当たりの家賃の差(54,409円と68,548円)よりも、1畳当たりの差(2,916円と4,151円)のほうが割合としては大きく開いています。木造の借家は非木造に比べて、広さの割に家賃が低めに出ていると読めます。

ただし、この1畳当たりの数字に自宅の畳数を掛けて賃料を見積もることはおすすめしません。立地、築年数、設備、駐車場の有無といった条件が平均の中に埋もれているためです。統計は、地元の管理会社から示された賃料の見込みが、全国の傾向と比べて極端に離れていないかを見るための補助線として使ってください。

出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』(2024年9月25日公表、調査時点2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)

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貸す場合の条件を見る

統計の平均と自宅の条件は違う。貸す場合の見込みは地域の会社に聞いて並べる

全国の家賃統計は物差しにはなりますが、自宅の賃料見込みそのものではありません。貸す場合の条件は、地域の管理会社に示してもらい、売る場合の価格感と同じ表に並べると比べやすくなります。管理会社の条件をまとめて見たいときは、外部の比較サービスを使う方法があります。ボタンからはリビンマッチ(リビン・テクノロジーズ株式会社)の外部サイトへ移動します。

リビンマッチの賃貸管理の入口を見る

広さの前提: 一戸建は126.32㎡、共同住宅は50.31㎡

家賃の平均を読むときは、どのくらいの広さの住宅を含んだ平均なのかも意識しておく必要があります。同じ調査の専用住宅の1住宅当たり延べ面積は、全体で90.86㎡、一戸建で126.32㎡、共同住宅で50.31㎡でした(2023年)。

この面積は、持ち家と借家を区別しない専用住宅全体の平均です。一戸建の借家に限った平均面積ではありません。それでも、一戸建と共同住宅では広さに2倍以上の開きがあることは読み取れます。借家の家賃の平均は共同住宅の部屋が多くを占める中で計算されているため、広い戸建てを貸す場合の家賃と単純に比べられないことが分かります。

戸建てを貸す場合は、借り手の候補も共同住宅とは違ってきます。子どもがいる世帯、ペットを飼いたい世帯、駐車場が複数台ほしい世帯など、広さや庭を理由に探している人が中心になります。家賃の見込みを聞くときは、近くの戸建て賃貸の募集事例がどのくらいあるかも併せて確認しておくと、統計の平均との違いを説明してもらいやすくなります。

出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』(2024年9月25日公表、調査時点2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)(表6 専用住宅の建て方別住宅の規模)

一戸建の空き家352万3千戸のうち、賃貸用は6.0%

次に、貸す側の供給を空き家の統計から見ます。2023年の一戸建の空き家は352万3千戸で、そのうち賃貸用の空き家は21万3千戸、割合は6.0%でした。一戸建の空き家の80.9%(285万1千戸)は、賃貸用でも売却用でも別荘などの二次的住宅でもない空き家です。

共同住宅は様子が大きく異なります。共同住宅の空き家502万9千戸のうち、賃貸用は394万7千戸で78.5%を占めます。賃貸市場で空いている住宅の多くは共同住宅の部屋であり、一戸建の貸家は供給側でも少数派だと分かります。

空き家の種類別割合(2023年)。一戸建は賃貸・売却用等以外80.9%、賃貸用6.0%、売却用5.4%、二次的住宅7.6%。共同住宅は賃貸・売却用等以外16.9%、賃貸用78.5%、売却用2.6%、二次的住宅2.1% 一戸建 共同住宅 80.9% 賃貸用6.0% 16.9% 賃貸用78.5% 賃貸・売却用等以外 賃貸用 売却用 二次的住宅 各行の空き家=100%
住宅の建て方別に見た空き家の種類別割合(全国、2023年)。賃貸・売却用等以外は、統計上の賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家。一戸建の売却用は5.4%、二次的住宅は7.6%、共同住宅の売却用は2.6%、二次的住宅は2.1%。四捨五入のため合計は100%にならない。出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』表2-2(2024年9月25日公表、調査時点2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)を基に Real Estate 7 Grid が作成

一戸建の賃貸用の空き家が少ないことは、見方によって2通りに読めます。競合する戸建て賃貸が少ないとも言えますし、そもそも戸建てを貸す例が多くないため、地域によっては募集事例が少なく、家賃の見込みを立てにくいとも言えます。どちらに当たるかは地域の状況次第なので、ここでは一戸建の貸家が少数派であるという事実だけを押さえておきます。

出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』(2024年9月25日公表、調査時点2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)(表2-2 住宅の建て方、空き家の種類別空き家数及び割合)

転勤で長く空く家は、統計上どこに入るか

住宅・土地統計調査では、空き家を賃貸用、売却用、二次的住宅、それ以外(賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家)に分けています。統計局の説明では、最後の区分の例として、転勤や入院などのために居住世帯が長期にわたって不在になっている住宅が挙げられています。

つまり、転勤中に誰にも貸さずに空けている家は、統計の上では賃貸用ではなく、この区分に数えられる可能性があります。貸すことを決めて募集を始めれば賃貸用の空き家になり、入居者が決まれば借家になります。同じ家でも、持ち主の判断によって統計上の位置づけが変わるということです。

空けておく、貸す、売るのどれを選ぶかは、戻る時期の見通し、住宅ローンの契約上の扱い、税の扱い、管理の手間によって変わります。住宅ローン控除や、貸す場合の契約の種類(定期借家と普通借家)は、それぞれ別に確認が必要です。この記事の統計は、その判断の前提となる全国の状況を知るためのものです。

出典: 総務省統計局『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果』(2024年9月25日公表、調査時点2023年10月1日。確認日: 2026年9月29日)(空き家の種類と説明)

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売る場合の価格感を見る

空けておく・貸す・売るを同じ表で比べる材料として、価格感を見ておく

貸す場合の家賃の見込みだけでは、選択肢を比べる表は埋まりません。売る場合にどの程度の価格感になるかも、複数の不動産会社の査定を並べて見ておくと判断材料が揃います。査定は依頼先の会社が行い、結果の幅は会社ごとに異なります。ボタンからはリビンマッチ(リビン・テクノロジーズ株式会社)の外部サイトへ移動します。

リビンマッチの売却査定フォームへ進む

貸す前に手元で確かめること

  • 全国の統計の位置づけ借家の1か月当たり家賃59,656円は、住んでいる世帯が払っている家賃の全国平均です。募集賃料や自宅の見込みではないと理解したうえで物差しにします。
  • 地域の家賃の見込み近くの戸建て賃貸の募集事例と、管理会社・不動産会社が示す見込みを確認します。複数社の数字を並べ、根拠を聞きます。
  • 戻る時期戻る時期が決まっているなら、定期借家を含めた契約の種類を先に確認します。期限が曖昧なときは、貸す期間の決め方を慎重に考えます。
  • 住宅ローンと税住宅ローンの契約上、賃貸に出せるかを金融機関に確認します。住宅ローン控除の扱いは国税庁の案内や税理士で確認します。
  • 空けておく場合の管理貸さずに空けておくなら、通風、郵便物、庭木、設備の点検を誰がどの頻度で行うかを決めておきます。

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